ロアッソ熊本から学ぶJ3優勝し、J2で躍進するサッカーとは?山形-熊本 Review

今日から他チームの分析も行います。全てはFC岐阜が強くなる為です。何か参考にできる部分はないか、研究します。また、皆さんが分析してほしいチーム、試合があればSNS、コメント欄にメッセージください。「何故あのチームは強いの?」、「何故あのチームは得点が取れるの?守備が固いの?」等の疑問の解決の手助けになれれば幸いです。

※文字数が増え、読みづらくなる為〇〇選手の選手は省略させて頂いています。ご了承ください。

第一弾はロアッソ熊本!山形-熊本のReview!

正直な感想、岐阜と熊本ではサッカーのレベルが違いすぎます。熊本のサッカーの質高いです。熊本はビルドアップもプレスの原則もあり、全員の役割がハッキリしていて運動量が豊富です。岐阜が出来ていない事、ほぼ全てピッチ上で表現しています。大木監督も新化したんだと感じました。

三島も岐阜在籍時と比べて別人のような動きをしていました。前半はビルドアップのサポートをし、後半トップ下に入るとライン間で受けてドリブル、パスを散らしながらスルーパスも出して決定機を演出していました。69:14~(ハイライトでは3:52~)のシーンは痺れました。

攻守において約束事があり、ピッチ内でやることが整理されているだけでこんなにプレーが変わるのだと驚いています。今シーズン14試合(1170分)の先発出場しています。既にJ3で戦った2020、2021シーズンの出場時間(1132、522)を超えています。シュート数はルーキーの2018年に記録した7本(1730分出場)に既に並んでいます。何故、三島が岐阜を契約満了にされた後、J2の熊本で輝いているかは小松社長主導でクラブとして考える必要がありそうですね。そこに昇格へのヒントが隠されていると思います。大木監督が岐阜での失敗から学んだと片付けることも出来ますが、熊本には大木監督が指揮しやすい環境が整備されていたのかもしれません。

こればかりは現場を知らないので断定できることはありません。「三島は岐阜で過ごした4年間を既に超えそうな勢いで活躍している」という事実があるのみです。

熊本のビルドアップの原則

熊本のビルドアップの原則が分かるシーンを2つ紹介します。

1つ目、19:18~のシーンです。

熊本はこのビルドアップからCKを獲得して先制点に繋げています。

48:50~のシーンでもビルドアップの原則が分かりますね。

WGの杉山と坂本が外に張ることでDFラインを広げさせ、中継役に三島と阿部が入ることでスムーズなビルドアップが出来ています。このシーンは途中パスがズレてシュートまでいけませんでしたが素晴らしいビルドアップだと思います。

熊本のプレスの原則

熊本の守備は人を捕まえる守備をするので最終ラインからもどんどん人が出てきます。16:22~(ハイライト1:47~)ではプレスからボール奪取、シュートで完結する素晴らしいシーンなので是非確認してみてください。人を捕まえる守備の強みが出ています。

ここでは3:10~のシーンを使って人を捕まえるプレスの原則について解説します。

山形は前半この守備の苦しみシュート1本(枠内0)に終わりました。それに対して熊本はシュート10本(枠内7)です。

この守備は海外でもJリーグでも主流になってきています。強いチームはこの人を捕まえる守備を採用しますね。スペースを守るやり方だと攻撃側がサイドに人を集めたり、前線の選手が下りてきて一時的に数的有利を作り簡単にプレス回避をします。

逆にプレスが中途半端になり、決定機を作られたシーンもあります。75:15~です。山形のプレス回避が上手とも言えるでしょう。

人を捕まえるプレスは時には自分のマークを捨てて飛び出す必要もあります。監督がプレスの原則を明確にすると共に、選手の運動量、サッカーIQ、判断力が必要とされます。このシーンではシュートを打たれますが熊本は全員が全速力でプレスバックしてセカンドボールを拾います。誰か1人でもさぼると2次攻撃、3次攻撃と受けてしまいます。サボる選手がピッチ上にいないのも大木監督らしさが出てますね。

ちなみに三島が後半42分交代を告げられた時、走ってピッチ外に出ていきました。1-0で勝ってる終盤なんて普通は交代で時間稼ぎしますよね。それをしない三島の交代シーンを見て大木サッカーの懐かしさを感じました。いい意味で変わってませんね。

岐阜が中盤スカスカな理由

FC岐阜は前からプレスに行っているのに簡単にライン間で受けられて前を向かれるシーンが多いですよね。皆さんがよく中盤がスカスカと感じるのはFWのプレスに対してDFラインが連動してプレスに行かず、スペースを守っている為です。その為、FWとDFラインの距離が長くなり相手にスペースを与え、誰もマークしないのでやりたい放題ですね。そう、中盤スカスカ状態です。

下のアニメーションの「仮に人を捕まえずプレスをかけたら」以降がその例です。中盤でフリーな選手が居てもDFラインはそのまま居座り、相手選手にボールを受けられ、前を向かれ自由にパスを捌かれたりドリブル突破された嫌な記憶があると思います。

中盤スカスカ状態を解消するには熊本のように人を捕まえるプレスをするしかないと思います。昇格するにはこのプレスが必須だと僕は考えています。撤退守備の時は逆にこの守備はリスクが高すぎるので、ボールの位置によって使い分けが必要です。このプレスを行うには運動量が必須です。そしてDFのスピードも必須です。熊本の選手は剥がされたら全力でプレスバックします。90分間誰もサボらずにとにかく走ります。あまり走るイメージの無かった三島も足を止めません。岐阜の選手編成でそれが出来ますかね。疑問が残ります。

宮崎に、今治に、いわきにも中盤でやりたいようにやられましたよね。中盤でボールを受けられて簡単に前を向かせてしまうので、スピードに乗ったドリブルをされ、最終的にDFラインはズルズルと下がるしかないのです。人を捕まえる守備をしないのなら前線からプレスはせず、中盤で構えてるしかないのですがそうすると福島戦のようなドン引きサンドバック状態になります。ちなみにフレイレはこの守備が出来ないと思います。プレーを見ているとスピードに自信が無いのが伝わってきます。皆さんも現地観戦で確認してみると分かりますが、簡単にラインを下げ、前へ出ていきません。J1、J2で契約満了になった理由がここに隠されているのかもしれませんね。

勿論、人を捕まえるプレスにはリスクもあります。すぐ上のアニメーションのように最終ラインが一時的に2枚になり、突破されたら大ピンチです。しかし、この守備が出来ないなら相手がミスをするまで指をくわえて待つしかありません。その間、とにかく走らされて体力を消耗させられます。岐阜の気候は暑くてコンディションが良くないから岐阜の選手は走れないのではありません。受動的なサッカーで相手に走らされているから走り負けるのです。横山監督はここをどう考えるのか、どう修正するのか、もしくは修正しないのか楽しみにしましょう。

窪田、村田のようなドリブラーの活かし方

熊本の杉山は何度もドリブルで仕掛け相手を困らせていました。昨シーズン対戦した時に「なんてうまい選手だ」と惚れた事を覚えています。利き足は違いますが窪田、村田のようなタイプの選手です。その選手が活きる攻撃の構造になっているシーンが幾つかあったので抜粋して紹介します。大木監督は相変わらずドリブラーが好きですね。古橋とパウロのコンビを思い出します。

まずは15:17~のシーンです。三島が中継役となり杉山にパスを出し、ドリブルで仕掛けるシーンです。

このシーンは杉山の突破力を活かしたシーンでした。セカンドボールを回収するための河原と藤田のスプリント、チーム全体の押し上げは素晴らしいですね。57:25~のシーンでは藤田がイヨハと坂本の中継役となりボールを繋ぎます。WGを活かす素晴らしい攻撃の原則ですね。

68:10~は外に張ったターレスが味方を使いチャンスになったシーンです。

WGがパスを受けて味方に預け、中へ走りこむことで相手DFを収縮させ、外のスペースを味方が使い、クロスに対してWGが合わせる素晴らしいシーンでした。窪田も個の突破だけでなくこのように周りを使いながら自分はゴール前に侵入できると得点は増えますよね。

最後に

久しぶりに熊本の試合を観ましたが完成度の高さ、運動量の豊富さに驚かされました。ボールを失ってもすぐに切り替えて守備に行く、プレスを剥がされても全員がプレスバックする、これらの事をチーム全体で90分間やり続けるのです。解説の方は山形が押している展開でも「チームとしてやる事が明確で意思統一出来ているから大崩れはしない」と仰っていました。まさにその通りだと僕も感じました。

J3優勝する、昇格するに値するチームはどんなチームか明確になりました。そしてJ2昇格後も26試合で勝ち点38(PO圏内まで勝ち点差1)、7位へ躍進する(しかもJ1から4チーム降格している中で7位の)チームにはどんな原則、約束事があるか分かりました。

正直、FC岐阜には足りない事だらけです。J3で8位。それに値するサッカーしか出来ていないのが現状です。しかし、熊本もJ3へ降格してから今の岐阜と同じような問題に直面していたはずです。現実と向き合い、クラブとしての問題点に気付き、課題を克服した結果、今があると思います。

改めて、ロアッソ熊本、素晴らしいチームです。素晴らしいサッカーをします。思い返すと岐阜時代、大木監督は負けた時は必ず選手より前に立ってサポーターの話を聞いてました。勝った時は選手に隠れながら満面の笑みでバンザイ四唱していました。大木監督が常に自分にベクトルを向けて志向するサッカーをアップデートしたからこそ今の躍進があるのだと思います。大木監督あっぱれです。

これからも陰ながらロアッソ熊本も応援します。また、大木監督が指揮するJ2、J1の舞台で対戦して、昨シーズンの借りを返したいです。

おまけ:編集上カットしましたが良かったシーン

前半

  • 0:54~熊本プレスから奪ってフィニッシュ(全体は見えない)
  • 2:50~もプレスからシュート
  • 3:10~熊本プレスの原則アニメーション
  • 7:40~熊本ビルドアップ→CK獲得→先制 よさげ アニメーション
  • 11:50~プレスから回収
  • 15:17~プレス回避 河原のターン 三島が中継役
  • 16:22~連動したプレス~シュート アニメーションハイライトあり
  • 19:18~素晴らしいビルドアップ+三島のランニング アニメーション
  • 38:20~熊本のプレスと山形のプレス回避 熊本はCBが人を捕まえに行く 現代サッカーの主流
  • 40:25~熊本プレスと山形プレス回避の攻防
  • 44:28~スローインから選手の立ち位置が悪いとロストする カウンター受ける
  • 45:42~右から左へビルドアップ アニメーション

後半

  • 48:50~の選手の立ち位置素晴らしい 原則のアニメーション
  • 49:50~山形のプレス回避から決定機 熊本のプレスバック速い
  • 52:08~山形のライン間使った素晴らしいビルドアップ
  • 57:25~CB-WGの間で中継役
  • 68:10~窪田(サイドに張った選手)を活かすヒント アニメーション
  • 72:00~山形のお手本のようなプレス回避
  • 75:15~山形のポジショニングによるプレス回避
  • 83:51~素晴らしいプレス回避